Studying basics
of wine

まずは、ワインの
基礎知識を叩き込む。

「ワインとはなにか」???
そんなの知ってて当然よ、
という顔でグラスを傾けるための
とっておきの虎の巻です。

    • ワインとは、果物の醸造酒を指します。ですからリンゴを醸造した「シードル」もワインです、洋ナシやイチゴのワインもあります。最もポピュラーなのはブドウから作られるワインです。ぶどうには適度な酸と糖分が含まれていて、その皮には自然の酵母がついているため、つぶしておいておくだけで自然に発酵してお酒になります。

    • ビールや日本酒は乾燥した穀物を原料とするため、年間を通じて生産できるのですが、ワインはブドウの執れる季節にしか醸造できません。製造工程から言うと、穀物の場合はまずでんぷんを糖に変えるプロセスが必要になりますが、ワインは果実の中にすでにある糖を利用できるので醸造プロセスが一段すくなくてすむのです。

    • ワインの歴史は、ブドウの歴史でもあると言われています。その歴史の始まりは、一説には紀元前8000年ごろともいわれています。 このころには、コーカサス山脈(現在のジョージアのあたり)でワインがすでに飲まれていたと考えられています。
      文献上でワインの醸造が初めて登場するのは、紀元前5000年ごろのことです。 このころに起こった出来事をシュメール人が書き綴ったメソポタミア文明最古の文学作品である「ギルガメッシュ叙事詩」に、洪水対策の一環である船の建造に携わった労働者にワインが振る舞われたと記されています。
      また、紀元前5000年ごろのものと思われる遺跡から、ワイン造りで必要な果汁を絞るための道具だと考えられる石臼が発見されました。 これは、紀元前5000年ごろにはワインの醸造が始まっていたと考えられる要因の1つです。さらに、ワインの原料となるブドウを育てるためのブドウ畑があった痕跡も残っています。
      また、メソポタミアにほど近いエジプトでも、壁画などにワインを造るための道具が描かれていたことから、紀元前4000年代にワインが造られていたと考えられています。
      メソポタミア、そしてエジプトで造られ始めたワインですが、紀元前1500年ごろにギリシャに伝わったと言われています。
      ギリシャ神話によれば、ワインをギリシャにもたらしたのは酒神ディオニソス(バッカス)ですが、実際には現在のレバノン周辺に住んでいたフェニキア人という民族によって伝えられ、ギリシャ人によって盛んに造られるようになりました。そして、紀元前1100年ごろには、ギリシャは有数のワイン輸出国となったのです。
      ヨーロッパ国々でワインが造られるようになったのは紀元前600年頃で、ギリシャ人の一部が南フランス・マルセイユ地方に移り住んできましたときに一緒に伝わってきたものの1つがワインづくりだったのです。そして、この地に伝わったワインづくりは、そのころ勢力を強めていたローマ人の手によってヨーロッパ全土に広げられます。
      さらに時が流れて西暦1000年ごろの中世ヨーロッパでは、ワインは「キリストの血」とされ、神聖で貴重なものとしてヨーロッパ各地の教会や修道院でワイン作りが行われるようになったのです。

    • ぶどうは温暖な気候を好んで生育する植物で、世界中に分布していますが、良いワインを作るブドウとなると条件が限られてきます。世界の有名なワイン産地は年間平均気温が10℃から20℃の間の、夏に十分な日照が保証されるような地域に集まっています。緯度でいえば北緯30度から50度の間、南緯30度から40度の間に含まれます。
      さらに、良いブドウの育成には局部的な気候条件や地形が大きく関係します。また育成時の多雨や多湿はいたずらに枝の生長を招き、病気も発生しやすくなるので好ましいことではありません。水はけのよい地形や土壌が求められるのです。こうした要素が絡まりあって、しかもその土地に適したブドウの品種や栽培法のもとに、それぞれの個性のあるワインが生み出されるのです。一般に、温暖な土地のブドウは糖分を十分に含みますから、アルコール分のしっかりした厚みのあるワインになります。逆に寒い土地で育ったブドウは豊かな酸に恵まれエレガントで引き締まったワインになります。

    • ワインの個性の違いは、大きく分けると4つの要因が考えられています。
      一番目はブドウ品種です。ブドウには品種ごとにそれぞれの味わいがあり、ワインの味にも影響してきます。
      二番目は気候条件です。ブドウは、年間の平均気温10~20℃の温暖な地域に育ちますが、地域ごとに気温、日照時間、湿度、雨量などが異なり、それにより同じブドウ品種を栽培しても個性の違うワインができるわけです。
      三番目は土壌と地形です。ブドウは石の多いやせた土地にむいているとされます。肥沃な土地では枝葉が伸びすぎて良いブドウができないのです。この他にも土質、土地が平坦か斜面か、南向きかどうか、等々がワインの品質に影響します。
      最後は作り手です。畑への手のかけ方や、どのような味わいのワインを作ろうとしているのかにより、ワインの味わいも変わってくるのです。

    • 製法上から、4つの種類に分けられています。
      ①スティル・ワイン
      ワイン醸造のプロセスを完全に終わり、炭酸ガスを残さないワインです。泡が立たないことから、「スティル(静かな)ワイン」と呼ばれます。
      ②スパークリングワイン
      泡の立つワインです。フランスではシャンパン、ドイツではセクト、イタリアでは スプマンテなどが有名です。発酵中にできた炭酸ガスをそのまま閉じ込めて作ります。作り方には4種類あり、1つはいったん発酵を終えたスティル・ワインを瓶に入れ、砂糖、酵母などを加えて第二次発酵させる瓶内第二次発酵法で代表的なものにシャンパンがあります。2つめはタンク内で大量に第二次発酵させたものを瓶つめるシャルマ法です。3つめはビールのように一次発酵でできた炭酸をそのまま閉じ込める方法。4つめはスティル・ワインに炭酸を吹き込む方法です。
      ③フォーティファイド・ワイン
      強化ワインとか、アルコール強化ワインと呼ばれるもので、スティル・ワインを作る途中、あるいは作ってから、主としてブランデーを添加してアルコール度数を高めて酵母菌を生存できなくして発酵を止めます。味にコクを持たせるとともに、日持ちするように作られています。シェリー、ポート、マディラなどが有名です。
      ④フレーバード・ワイン
      アロマタイズド・ワインとも呼ばれます。ワインの中に薬草、香草、蜂蜜や果汁などを加えて変化を与えています。イタリアのベルモット、スペインのサングリアが代表的です。

    • ワインの製法は極めて単純で、ブドウ果汁の中の糖分を酵母の働きでアルコールと炭酸ガスに分解だけのことですが、現在一般的には以下の4工程で行われています。
      ①ブドウの実を破砕機にかけてつぶし、果梗(房から粒を取り除いた、残りの部分)を取り除きます。
      ②赤ワインの場合は、つぶした実をそのまま発酵槽に入れて、白ワインの場合はつぶした実を圧搾機で絞ってできた果汁だけを発酵槽にいれて発酵させます。
      ③発酵を終えた若いワインは、樽やタンクに入れて熟成させます。
      ④熟成したワインを瓶詰めして完成です。ただしワインによっては、さらに瓶内で熟成させます。この間に瓶内では外部からの影響を受けない条件の下で化学変化がおこり、香りは高く味わいにも深みが出てきます。

    • 赤ワインは一般に黒ブドウを破砕機でつぶしたものから果梗を取り除いて、果汁を果皮や種子と一緒に醗酵させます。この際に高めの温度でより長く置くにしたがって色が濃くなります。
      白ワインは、主に白ブドウを使い、普通は圧搾機で絞って作った果汁だけを発酵させます。
      ロゼワインの場合、赤と同じように果汁と果皮、種子を一緒に漬け込み、色がバラ色になったところで圧搾機にかけて果皮と種子を取りき、その果汁を発酵させて作ります。

    • ブドウの果汁は、放置しておけば最後まで醗酵してしまうと糖分がすべてアルコールに変わってしまいます。ですから、甘口のワインを作るためには醗酵を途中で止めて糖分を残す必要があります。不活発にしてろ過したり、あるいは、ブランでなどを添加してアルコール度数を高めるなど、いくつかの方法があり、後者がフォーティファイド・ワインと呼ばれるワインです。

    • シャンパンとは、フランスのシャンパーニュ地方で作られるスパークリングワインだけが名乗ることのできる、いわば産地名に由来した名称です。ただしシャンパーニュ地方で作られればすべてがシャンパンと呼べるわけではなく、フランスワインの法律であるAOC(原産地呼称統制法)に従って栽培から醸造、そして瓶内2次醗酵まですべてが厳密に行われ、最終的な品質検査に合格したものだけがシャンパンを名乗ることができるのです。

    • ワイン造りでは、ブドウ畑にいる様々な菌からブドウを守ることが大事な作業ですが、その中でボトリティス・シネレア菌という菌は特殊で、未熟な実や果梗に付くと腐敗をおこしますが、成熟した実についた場合は、素晴らしいワインを生む貴重な房となります。
      この菌の付着したブドウは、果皮の表面のロウ質がとかされて果粒中の水分の蒸発が促進され、その結果糖度が大きく上昇します。この現象を貴腐といい、貴腐ブドウから作られるワインが貴腐ワインです。
      貴腐ワインはごく甘口、芳香豊かで特にデザートワインとして飲まれます。

    • 世界で広く栽培されている主要品種をご紹介します。

      【赤ワイン用】
      ◆カベルネ・ソーヴィニヨン  Cabernet Sauvignon
          力強くてガッチリした頼りになる味わい
      ◆ピノ・ノワール  PinotNoir
          人を虜にする華やかで魅力的な香り
      ◆シラー(シラーズ)  Syrah(Shiraz)
          スパイシーな個性派。上品な一面も
      ◆メルロ  Merlot
          まろやかで果実味たっぷりの親しみやすさ
      ◆ガメ  Gamay
          ボジョレー ヌーヴォーのぶどう。華やかな軽やかさ
      ◆マスカット・ベーリーA  Muscat BaileyA
          日本を代表する黒ぶどう品種
      ◆サンジョヴェーゼ  Sangiovese
          多様な味わいを生むイタリアを代表する黒ぶどう
      ◆テンプラニーリョ  Tempranillo
          スペインワインの品質を支える大黒柱
      ◆ガルナッチャ(グルナーシュ)  Garnacha(Grenache)
          ふくらみのある果実味のあたたかな味わい
      ◆マルベック(コー)  Malbec(Cot)
          ”黒ワイン”と呼ばれた色調の濃さ
      ◆カルメネール  Carmenère
          チリで花開いた力強い味わい
      ◆カベルネ・フラン  Cabernet Franc
          軽やかな味わいのカベルネ・ソーヴィニヨンの親

      <白ワイン用>
      ◆シャルドネ  Chardonnay
          多彩な顔を持つ白ぶどうの代表選手
      ◆リースリング  Riesling
          アロマティックで繊細な高貴品種
      ◆ソーヴィニヨン・ブラン  Sauvignon Blanc
          フレッシュなアロマの爽やか系代表
      ◆甲州  Koshu
          穏やかでしっとりしとした心落ち着く味わい
      ◆ヴィオニエ  Viognier
          華やかな香りとトロトロの果実味
      ◆セミヨン  Sémillon
          どっしりボディの落ち着いた味わい
      ◆アルバリーニョ  Albariño
          華やかな香りと塩味を持つ海のぶどう
      ◆トロンテス  Torrontés
          アルゼンチンを代表するアロマティック品種
      ◆マスカット(モスカート)  Muscat(Moscato)
          アロマティック系を代表する古代品種
      ◆ピノ・グリ(ピノ・グリージョ)  Pinot Gris(Pinot Grigio)
          しっかりとした果実味とコクを持つ人気品種

    • ボージョレ・ヌーヴォとは、フランス南部ブルゴーニュ地方のボージョレ地区で、その年に収穫された「ガメイ種」というぶどうから造られる新酒のことです。
      「ヌーヴォ」は、フランス語で「新しい」という意味です。また、ボージョレ・ヌーヴォはこの地方の秋の収穫を祝って行われる祭りで捧げられたのがはじまりと言われています。
      ボージョレ・ヌーヴォの解禁日は、毎年11月の第3木曜日午前0時と定められています。日本では、日付変更線の関係上、本場フランスよりも約8時間早く楽しむことができます。
      ボージョレ・ヌーヴォの味わいは、フレッシュな果実味が持ち味で、しかも渋味が少ないので、10℃~13℃くらいに軽く冷やすと最も美味しく飲むことができます。水を張ったワインクーラーに氷を少なめに浮かべ10分ほどボトルを浸してからが飲み頃です。また、ヌーヴォはフレッシュさを楽しむワインなので、購入後はできるだけ早めに飲みきった方が良いでしょう。

    • まず、ワインに詳しいお店を見つけてなじみになるのが近道です。お店の人に自分の好みの味(赤か白か、甘口か辛口、軽めか重めか、など)と予算を伝えてみましょう。勧められたワインの味わいが希望とずれていたら次の機会にはもう少し重めで、などと伝えてみましょう。それを繰り返すうちに自分自身の好みを上手く伝えられるようになります。
      また、ラベル(エチケット)に記載されている産地や生産年やシャトー、ブドウ品種などを読んで美味しいと感じた産地や年代を続けて飲んでみるのも勧めです。同じ産地でも年代によって、シャトーによって、味わいの違うことが徐々にわかるようになってきて選ぶことが楽しくなってくるかもしれません。

    • ヨーロッパの古くからの産地では、産地ごとに同じタイプのボトルを使う傾向が残されています。代表的なものは、

      ボルドー型ボトル

      ◆ボルドー型
      ボルドーではほとんどすべてがこのボトルで、世界的にもよく使われる形です。

      ブルゴーニュ型ボトル

      ◆ブルゴーニュ型
      ブルゴーニュのほかに、コート・デュ・ローヌやロワールでもこのタイプのボトルを使っています。

      シャンパン型ボトル

      ◆シャンパン型
      スパークリングワインは世界的にほとんどすべてこのタイプと言ってよいでしょう。

      ライン・モーゼル型ボトル

      ◆ライン・モーゼル型
      ドイツワインのボトルとして多く使用されていますが、ドイツに近いフランスのアルザスでもこれに近いタイプのボトルが使われています。

      キャンティ型ボトル

      ◆キャンティ型
      イタリアのキャンティ特有の形ですが近年は次第に数を減らしています。

      ボックスボテイル型ボトル

      ◆ボックスボテイル型
      革袋の名残を残した形で、ドイツのフランケンやポルトガルのマテウスなどで使用されるボトルです。

    • シャトーとは、ブドウの栽培から醸造し瓶詰まで行う生産者のことで、ブルゴーニュではドメーヌと呼ばれます。元詰め、という言い方をすることもあります。
      ネゴシアンとはワイン商のことを言います。
      フランスではワイン生産者が100万近くあるといわれています。ワイン商は各生産者からワインを買い樽で買い付け、バランスの取れた風味になるようブレンドしたものを瓶詰めして流通させます。そうすることで年ごとの味わいの変動も少なく、品質も安定しますので、中には評判の高いシャトーのワインにも劣らない風味をもつワインも少なくありません。
      近年はシャトーワインが優良とされる傾向がありますが、そうとは限らず、むしろ熟練したネゴシアンによるブレンドワインの方が価格もお手頃で風味もよい場合も多々あります。

    • フランスワインの格付けには、ワイン法でのAOC(原産地呼称管理法ワイン)とVDQS(産地限定高級ワイン)とがあります。これらは有名銘醸地を指定する意味で一種の格付けと言えるでしょう。一方、ボルドーやブルゴーニュでは、ワイン法との関連の有無は別として、慣習法としての生産者の畑や格付けが行われています。特に有名なのは1885年に行われたボルドー・メドック地区の格付けで、約500のシャトーから58シャトーがグランクリュ、つまり特級に指定されています。

    • ビンテージとは、ブドウが収穫された年を指します。原料であるブドウの良し悪しがワインの品質を決定づけるため、ラベルに記載された収穫年を見ることでワインの性格をある程度知ることができます。
      しかし、それは世界的に著名なシャトーもののような生産者の個性で人気を集めているようなワインに限ります。ネゴシアンによるブレンドワインは収穫年も異なるワインも含まれていますので、ビンテージ表記はあまり意味がありません。

    • 一般的にはスクリュープルをお勧めします。このタイプはスクリューがコルクの中心にまっすぐ入り、しかもハンドルをただ回しているだけでコルクがスムーズに抜けます。
      プロの人は折り畳み式のテコ型のオープナーを使います。このタイプはまっすぐねじ込むこと、テコの力を利用して引き上げるときにコルクが曲がらないようにすることなど注意が必要です。そのためには取っ手をボトルから離すように手前に引き上げるのがコツです。
      に失敗するとコルクのカスがワインに入ってしまったり、コルクが途中で折れてしまって開栓できなかったり、といったことがないように、オープナーは使いやすいものを選んでください。

    • まず保存場所からワインを専用のバスケットなどに入れて横にしたまま静かにテーブルへ運びます。そしてそのままの状態でキャップシールを切り、静かに線を抜きます。
      デカント(移し替え)は、デカンターを左手で、ワインの銅を右手に持ってデカンターの内側の側面に添わせるようにして静かにワインを注ぎます。やがてボトルの下にたまっていたオリがゆっくりと動き始めて首のところにきて、もう少しでデカンターに入りそうだという直前で注ぐのをやめます。これでデカンターの中にはオリのない上澄みだけが移し替えられます。

    • しばしば高級ワインは飲む1~2時間前に開栓するほうが良いとされますが、実際には栓を抜くだけでは風味はほとんど変化しません。一方、デカントには間違いなく効果があります。特に若くてまだ風味の固いワインなどは、30分ほど前にデカントすることで驚くほどまろやかになることがあります。ただし、古くて十分に熟成したワインの場合には、デカントすることで急速に風味が変化してしまい変化を味わうタイミングをのがしてしまいますので、注意してください。

    • ワインの風味をバランスよく味わうためには、飲むときの温度を考える必要があります。例えばバランスのとれた赤ワインを冷やしすぎると渋いだけの腰の抜けたワインになってしまうことがよくありますし、白ワインを冷やさずに飲むとしまりを失い、本来の味をまったく楽しめません。
      一般に白やロゼ、スパークリングは10℃前後、赤ワインの場合は15~18℃くらいが飲み頃です。
      日本では白ワインをアイスバスケットに漬けるなどして冷やしすぎる傾向がありますが、白ワインも冷やしすぎるとせっかくの膨らみが死んでしましますから注意しましょう。
      白も赤も、いいワインを飲む場合には少し高めの温度で味わうほうがその長所を生かせるでしょう。

    • ヨーロッパ諸国ではワインの歴史とともに、各地で様々なデザインのワイングラスが作られました。
      しかしボルドーワインを飲むからボルドー型グラスを使用したほうがいいというわけではありませんし、現在では万能型のグラスを用いるのが全世界で般的です。
      ワイングラスは、飲むワインの色、香り、味を楽しめるものが良いでしょう。それには次のような条件を満たすものを選ぶことをお勧めします。

      ①無色透明で脚付きのもの
      ②150ml以上入る大きめのもの
      ③光景が6㎝以上あるもの
        (飲む際に鼻先がグラスの内側に入る大きさ)
      ④ふちが、やや内側にカーブしているもの
        (香りを逃さないため)
      ⑤薄手のガラス製のもの

      なお、スパークリングワインには立ち上る泡の美しさを堪能できるフルート型のシャンパングラスが最適です。

      ワイングラス
    • どのワインを注文してよいのかわからない場合は、気軽にお店の人に相談しましょう。伝えるのは、だいたいの予算と、赤か白かロゼか、好みの味わいです。料理が決まっていればその内容も伝えるとよいでしょう。
      味わいは「甘味があるもの」「渋すぎない」「酸味がきつくない」「コクのある」といった程度でも大丈夫です。お店の人がふさわしいワインを選んでたら、その時に詳しい説明を聞いておくと、自分の好みを再確認できるでしょう。

    • ワインはとてもデリケートなお酒なので保存中にしばしば味わいが激しく変化します。そこでワインが傷んでいないか確かめるためにホストが試飲する習慣があります。ホストは、ブラスにつがれたワインの色や香り、味わいを最初に試して、良ければ「結構です」と伝えましょう。(これをホストテストといいます。)

    • 明らかに傷んでいると思った場合にはソムリエに確認してもらい無料で同じワインを開けてもらうことはできますが、単に好みに合わないと思っただけで他のワインに替えてもらうことはできません。そのような場合は、そのワインの代金も払って更に別のワインを注文するのがマナーです。そうならないためにも、どのようなワインが飲みたいのか伝えること、ソムリエが勧めたワインがどのような味わいなのか、よく確認してから注文するようにしましょう。

    • ワインを寝かせて保存するのは、コルク栓を乾燥させないためです。コルクは乾燥すると収縮してしまい、空気が中に入り込んでワインの酸化をまねいてしまいます。また、開栓する時にくずれやすくなることがあります。このため、コルク栓を使っていないワインの場合は寝かせる必要はありません。

    • 理想的な保存条件についてご説明しましょう。

      ①温度があまり高くならない場所を選ぶ
      10~15℃が最適です。特に長期の熟成を目的とする場合、温度が高すぎると化学変化が進みすぎ、低すぎると熟成が止まってしまいます。

      ②急激な温度変化のない場所で
      短時間の内に頻繁に温度変化する場合、劣化を進めます。例えば冷暖房のある部屋や、食品用の冷蔵庫です。長期保存をする場合は四季を通して部屋全体を同じ温度に保つことのできる場所が良いでしょう。

      ③湿度は高めに
      65~75%が最適です。乾燥はコルクを乾燥させてしまいます。たとえラベルにカビが生えたとしてもワイン自体の品質には何の問題もありません。

      ④光をあてない
      直射日光をあてるとワインは変質してしまいます。なるべく暗いところで保存し、必要な場合の照明には蛍光灯やLEDを使用してください。

      ⑤振動のある場所は避ける
      振動も化学変化を進ませます。振動のない静かな場所で保存してください。

      ⑥においのあるもののそばに置かない
      ワインの香りは繊細ですので、塗料や防虫剤、食品などと一緒に貯蔵するのは禁物です。

      ⑦横に寝かせる
      コルク栓のワインは、コルクを乾燥させないために横に寝かせて保存しましょう。

    • 冷蔵庫は日に何回となく開け閉めします。そのたびに庫内温度は変化し、ワインの品質を劣化させてしまいます。また開閉の振動や食品のにおい、乾燥も悪影響を与えますから、ワインにとって良い環境とは言えません。飲む前に少し冷やす分にはかまいませんが、長期保存はおすすめできません。

    • 亜硫酸は硫黄を燃やすだけで簡単にできる手軽なガスで、ローマ時代から壺などの容器の殺菌用に使われてきました。ワインに使う場合は、醗酵前に酵母以外の有害な微生物の活動を抑えたり、不快な香りの成分を除く役目を果たしています。またオリ引きの際や瓶詰の後における酸化を防ぐことも大切な役割です。
      亜硫酸を使わずに作ったワインは変質しやすいため、中世以来世界中のワインに酸化防止剤としてこの亜硫酸が使われています。量的にはごくごく少量で、食品衛生法による安全基準内で使われていますので、安心してお飲みください。

    • 飲み残したワインは、小さな瓶に口いっぱいになるように移し替えて栓をし、冷蔵庫にしまってください。一般的なワインであれば2~3日は、それほど変化なしに楽しめるはずです。
      ただし長年熟成させたワインは、できることならその日のうちに飲んでしまってください。味のバランスのくずれが早いため、翌日では台無しになっているおそれがあります。
      なお、残したワインの風味が落ちた場合でも、料理用には十分美味しく利用することができます。

    • ワインの風味を表現する言葉には無限のバリエーションがありますが、基本的なものを説明しましょう。

      ◆甘口
          一般的にワインの甘口とはブドウが持つ甘みをワインに残したもので、ほのかに感じる甘みから豊かに感じるものまで様々です。また、当分の量できまるわけではなく、酸味とのバランスで感じ方が異なってきます。

      ◆辛口
          ワインの場合、辛口という表現は「甘みが控えめ」「甘みがほとんどない」という意味で用いられます。香辛料の辛さや酸味だけを感じるタイプのワインを指しているのではありません。
      ひと口に辛口と言っても、硬くシャープなものから、飲んだ後にわずかに甘いを感じるような豊かなコクを伴ったものなど様々です。

      ◆酸味
          ブドウには酒石酸とリンゴ酸リンゴ酸が含まれており、これらがもたらす酸味はワインに爽やかさや引き締まりを与えるため、味わいに欠くことのできない要素となっています。酸が多すぎるとギスギスとした、少なすぎるとキレの悪い印象になります。
      ワインの酸味はブドウの育つ土地の気候条件に多く影響を受けるので、それぞれの風土の特徴が味わいに反映されます。

      ◆コク
          「ボディ」という意味で表現され、ワインの厚み・膨らみを意味します。ワインの中に含まれるアルコール分と不揮発性成分の量とバランスによって、軽やかなものから厚み・深みを持つものまでボディの違いをあらわします。

      ◆アロマ
          一般的にはブドウの果実に由来する香りのことを指します。

      ◆ブーケ
          醗酵熟成から生まれる香りのことですが、人によってはアロマを第1ブーケ、ブーケを第2ブーケ(醗酵から由来)と第3ブーケ(熟成香)、と表現する場合もあります。

      ◆フレーバー
          香りと味が口の中で一体となった風味のことを指します。

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